爆発ピンボール

「KAMIKURU」プロジェクトのスペシャル対談 地域みんなで創る循環イノベーション

対談動画はこちらから

地域の人々が主体となることで生まれた「KAMIKURU」プロジェクト

梅木 まず、 「KAMIKURU」カミクル プロジェクトという活動は地域の一人ひとりが主体となり、仲間同士で共創し合い、古紙をアップサイクルして地域に還元するプロジェクトです。
私たちはこのプロジェクトから生まれる効果は5つある(下図参照)と考えています。

山崎 なるほど、かなり網羅的に考えられているんですね。「KAMIKURU」という名前は可愛らしくて親しみやすい響きを感じますが、どういった意味があるのですか?

梅木 「KAMIKURU」という言葉は私たちの愛称で、アップサイクルによって紙が地域をクルクル(KURUKURU)と循環することで、人と社会によりよい未来がやって来る(KURU)ことを目指して名づけました。

山崎 そういった意味が込められていたんですね! 「KAMIKURU」プロジェクトの取り組みを始めたのは北九州市だと伺っていますが、どんな感じで進められているんですか?

梅木 北九州市は環境首都のモデル都市としていろいろな活動をされていますが「KAMIKURU」プロジェクトでは、古紙をビル内で再生することが出来るPaperLab(ペーパーラボ)という製紙機がきっかけとなりました。 2019年に市の環境学習・体験施設 「北九州市環境ミュージアム」でPaperLabを展示いただいたのが、最初です。

古紙を再生するのに専門の工場に運ぶことなく、PaperLabだけで紙を再生できることや、小さなサイクルによる環境負荷の低減など、見学者のみなさまからも好評で、展示期間も延長いただきました。
そんな時に、「PaperLabを一か所で使用するだけでなく、地域全体で広く、みんなで利用する、コインランドリーのように使ったら面白いんじゃないか」、というアイデアが生まれました。

山崎 なるほど。そのテクノロジー、ソリューションから地域へのサービス転換があったんですね。市民が主体となって関われるというのは大事ですよね。

地域の方々ありきで考えるから広がる「循環のカタチ」

山崎 私はサステナブル都市計画家として地球環境に優しい街のデザインや、地域の方々のコミュニティをベースにした都市計画などを中心に活動しています。
アメリカのポートランド市では「特にその街全体が長期的に持続可能な街をつくる」ということで、環境に優しいだけではなく、エネルギーや、コミュニティーづくりなどを軸に長期的な計画を作っています。その中でも、中心地を人々が使いやすく住みやすくするために、再開発をする取り組みをしてきました。

梅木 やはりその「市民ありき」というのが一番大事な部分でしょうか?

山崎 そうですね。市民が欲しい・市民が住みたい街や、ライフスタイルなどですね。 ポートランド市の開発局で働いていた時には、エコディストリクトといって、その地域の中でどうやって環境資源や人、お金を循環させるかという取り組みをしていました。

その中でも頑張っていたのが水の循環です。雨水や汚れた汚水を再生し木への散水に使う、「再生水」をずっとやっていたんですよ。
「KAMIKURU」プロジェクトはその紙版みたいだなというのをすごく感じましたね。

梅木 「KAMIKURU」プロジェクトでも古紙のアップサイクルを通して地域のいろいろな方と連携して取り組むことができています。
例えば、学校での取り組みですと、学校生活で出る授業のプリントなどの古紙を集めて オリジナルの卒業証書 を作りました。
また、百貨店さんとの取り組みでは、百貨店さんのオフィスの中で使われた使用済みの古紙から、店舗でのお客様への 手提げ袋へとアップサイクル させてお客様にお届けできるような活動が行われています。
そして、そのアップサイクル品の制作には地域で障害をお持ちの方の就労を支援する NPO法人「わくわーく」さんと協力 し、障害をお持ちの方への雇用の機会を増やしたりなど、主体的にオール市民でご活動いただいており、私たちもやりがいをもって一緒に活動をしています。
 そういった活動を通じて、2022年には、「2021北九州市SDGs未来都市アワード」の企業部門で「SDGs大賞」を受賞させて頂きました。

山崎 素晴らしい!北九州市の市民のみなさんが主体となって一緒に「KAMIKURU」プロジェクトを継続することで、だんだんと裾野が広がっていきますね。

さらなる循環を生むために、
地域ならではの尖った「長期ビジョン」を一緒に創りあげる

梅木 このように「KAMIKURU」プロジェクトでは、産学官民連携で地域の古紙をアップサイクルする活動を行っているのですが、現在はまだまだアナログな運用部分もあります。
そこをいかに効率よくしながら、市民の皆さんが参画しやすい形にしていくのかというところが今後考えていかなければいけないテーマと思っています。

山崎 そうですね、PaperLabは、今すごく厳かで大きいものじゃないですか。それがもっと身近になったら、いろんな人が自分のものとして考えられますよね。 紙を集めること自体も、新たに作った紙を使うこと自体も、クラウドソーシング的にいろいろな人がはじめから携わっているとアイデアは集まりやすいと思いますよね。

あとはデジタル化ですよね。古紙を使って、またはアップサイクルした紙を使ってどういったものがつくれるか? その先を考えたり、考え方自体を考えていくのは人間でいいと思うんですけど、どういうデザインであるべきかみたいなところは、もうAIに任せられる時代にはなっていますよね。

梅木 デジタル化というところもそうなんですけれども、 自治体の方々と、より強固に連携を深めていくために、山崎さんのご経験からアドバイスをいただけますか?

山崎 そうですね、割と欧米では、都市計画をする時に必ず長期ビジョンをその街ならではの尖ったものにするのが重要視されていて、まずは目標を掲げることをご提案します。
例えば『北九州市の紙』=『「KAMIKURU」プロジェクトででつくられた紙』とすると尖った目標になります。「KAMIKURU」プロジェクトが、北九州市でのSDGsの取り組みのビジョンの中で紙や地域循環のビジョンの土台になることを目指していく。

その取り組みづくりや戦略づくりの部分からを地域の人たちと一緒に考えて、ビジョンを作っていくことを行ったり来たりしながらやっていくとうまくいくと、僕のアメリカでの体験では研究しています。

梅木 非常に参考になります。それらが全てつながって、それぞれにきちっと目標があって行動がついていくということですね。しかもそれが市民の意見から吸い上げられて作られていくと。

山崎 そうすると市民のみなさんからすると「自分の街感が出る」というか、オーナーシップを持ちますので、自分たちが取り組む活動にもそれぞれの意味が生まれるわけですよね。

梅木 今後「KAMIKURU」プロジェクトは、こういった地域共創の事例をいかにいろいろな地域で再現していくか、かつ、それがその地域の特性だったり、市民の方の想いだったり、いかに地域のみなさんと一緒に目標やビジョンを掲げながら「KAMIKURU」プロジェクトの循環イノベーションを展開していくかというところが今後目指すべき姿であると、本日お話をさせて頂きながら改めて感じました。

梅木 山崎さん、本日はありがとうござました。

プロジェクトについて

古紙の回収、再生紙や
アップサイクル品の作成を担う

NPO法人わくわーく